34話   それぞれの日曜日(BYさつき) 作者べりやん






 





チッ、チッ、チッ・・・・・








時計の針は、12時を回ろうとしていた。






「・・・・ちゃ・・・ね・・・・ん!!」





さつき「う〜〜ん・・?まだ眠いのぉ〜・・・」





さつきは、まだ布団の中にうずくまっていた。







弟「姉ちゃん!起きてよ〜〜!」




さつき「何よ〜・・・まだ12時じゃない」




弟「いや・・・もう12時だよ・・・」




さつき「昨日寝るの遅かったんだもん」




弟「ってかお願いがあるんだけど・・?」





さつき「お願い?あんたが?珍しいわね〜」





弟「実は・・・・人が来るからどっか出かけてくれない・・?」






さつき「はぁ!?イヤよ!めんどくさいしどうせ野球部の友達でしょ?それならいいじゃない」






弟「違うんだよ・・その・・・」






もじもじする弟



次第にさつきがイライラし始めた。










さつき「もぉ!なんなのよ!物事は、はっきり言いなさい!」




弟「かっ・・・彼女が来るんだ・・」




さつき「か、彼女!?」






弟は、小さく首を縦に振った。







さつき「へぇ〜・・あんたがね〜・・・」




物珍しそうに弟を見るさつき





弟「うるせぇ〜な・・・だから出かけてくれない?」




さつき「・・・・・可愛い弟のために出かけてあげよう!」






さつきは、やっと布団から起きた。








弟「やった!ありがとう姉ちゃん!!」




さつき「その代わり!!彼女見せてもらうからね〜」




弟「えっ!・・・・・一目だけなら・・・・・」




さつき「それで許してあげよう。ってかご飯ある?」




弟「台所に置いてあるよ」






さつきは、台所に向かい昼食を食べ始めた。











     ピンポーン









さつき「来た!!!」






さつきは、一目散に玄関にダッシュした。





弟「ちょっ!姉ちゃん!!」









      ドタドタドタ!!!









さつき「はぁ〜〜〜い!」






      ガチャッ








戸を開けるとかわいらしい女の子が立っていた。






出てきたのが弟ではなくさつきだったから女の子はあたふたしていた。










彼女「あ、あの私伊藤 由梨(いとう ゆり)って言います。あの・・・・北大路君のお姉さんですか?」






弟「わぁ〜〜!!由梨ちゃん!こんな人に挨拶しなくてもいいよ!」





さつき「ちょっ!こんな人ってなによ!」




弟「もぉ〜いいって!!一目見たんだからどっか行ってくれよ!」




さつき「わかってるわよ!」







由梨が2人の会話を見ておどおどしていた。



それに気がついたさつきが笑顔で話し掛けた






さつき「由梨ちゃん、ゆっくりしていってね」





由梨「ありがとうございます。」




弟「ほらっ!入りなよ」





さつきは、後ろから2人のことを見ていた。









さつき(隼(はやと=さつきの弟)のあんな顔見たことない・・・・












                 デレデレしちゃってさ〜・・












       真中もあんな風にあたしのこと












                   見てくれたことあるのかな・・・・・?)














                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




















さつきはそのまま家を出た。











行く宛もないままさつきは適当に歩き続けた。







歩き続けてたどり着いた先は

















               映画館だった。













さつき(映画ね〜・・・・最近見てないな〜・・・今度撮る映画のために見て勉強でもしようかな〜・・








  
                                                       でも・・・・・・・1人は、虚しいかも・・・・)















さつきの足は映画館の前で止まったまま時間だけが刻々と過ぎていった。








すると、いきなりさつきの目の前が真っ暗になった。










さつき「えっ!?誰!!?」







後ろから目をふさがれただけだった。










「誰でしょ〜〜?」









さつき「・・・・その声は・・・・」







ふさいでる手をとり後ろを振り向いた。










さつき「はぁ〜・・・やっぱりあんたか・・・」








烈火「なんでそんな悲しそうやねん!!」







思ったとおり烈火だった。








さつき「・・・・・あんた・・今日暇?」





烈火「ん?なんでや?」





さつき「いや・・・暇なら映画でも見ない・・?」





烈火「まじっ!!見たいけど・・・ごめんな〜今日は大事な用事があるねんか〜・・・だから、また今度でもいいか?」







さつき「用事あるのか〜・・・それなら、あたしも帰ろうかな」





烈火「えっ!?お、俺のせいか?」





さつき「別に違うよ、なんか気分がね〜・・」






烈火「そうなんか〜でも、俺今かなりうれしかったで


     まさかさつきちゃんからデートのお誘いがあるとは思わんかったからな〜惜しい思いやわ」








さつき「べ!別にデートじゃ・・・」






烈火「まぁ、さつきちゃんと居れたらなんでもええけどなほな、俺用事あるし行くわ、



                        さつきちゃんこれあげるさかいちゃんと映画見ていき!それじゃあ、バイバイ〜」












烈火は、さつきに映画の無料チケットを渡して帰って行った。










さつき(・・・・せっかくだし・・・見ていこうかな・・・)








さつきは、映画館に入った。





その映画は・・・・・・






主人公、ヒロインもよかったが






影から応援していた人にさつきは夢中になった。








そんなに、出演していないのに・・・・







その人の演技に・・・・役柄に







脇役だけど、こんなに人を感動できるなんて








今まで、思ったこともなかった・・・・・・








あたしも・・・ヒロインじゃなくても、










人を感動させたいな・・・・・・・・・。










さつきは、映画のエンディングを見ながらそう思った。




そして、映画館を後にした。








さつきの顔は、やる気に満ちていた。