57話   不安と恐怖、そして・・・・・・  作者べりやん

 
















駐車場が見えてくると、不良達がいるのではないかと思い慎重にゆっくり進んだ。











唯「ねぇねぇ(ボソッ)」






つかさ「ん?何唯ちゃん」









唯「なんか救急車の音聞こえない?」






つかさ「救急車?」







唯「うん。なんかピーポーって」






つかさ「ん〜〜・・・・・あっ、今聞こえた」






唯「でしょ?しかもなんかだんだんこっちに向かって来てるような・・・」







さつき「ちょっと、静かに!不良とかがいるかもしれないでしょ」







唯「さつき姉ちゃんの声の方が大きい・・・・・(ボソッ)」






さつき「なんか言った?(ギロッ)」








唯は、既に違うところを見ていた。














駐車場の横に着いた。









さつき「なんかさぁ〜騒がしくない?」






つかさ「あたしも思った!なんか人が集まってるのかな?」





さつきがひょいっと駐車場を除いた。













その瞬間、さつきはいきなり走り出した。
















唯「さつき姉ちゃん!?」












つかさも続いて駐車場を除くといっぱいの人が集まっていて














その中心に誰かが倒れていた。


















一気に背筋に寒気が走った。











そして、動けないままでいた。

























さつき「真中っ!!!!!」



















さつきの言葉でふと我に帰る。











唯「え!?じゅんぺー!?西野さん行こ!!」









唯に手をひかれて倒れてる真中の元へ向かった。









一歩一歩近づくにつれて真中の姿がよく見えてくる。











さつきの顔を見ると遠くからだけど状況が把握できた。












どんどん心臓の音が高まっていくのがわかった。











そして、真中の前に着いた。












つかさは、完全に放心状態に陥っていて駆け寄ることさえ出来なかった。












周りの人が騒ぐ音、さつきと唯が真中に向かって言っている言葉、近づいてくる救急車のサイレンの音。













どれも聞こえず、まるで時が止まったのかのように感じた。














つかさがわかっていることは、目の前で頭から血を流してる真中がいること。











真中の顔色は、良くはなかった。








少し青ざめているように見え、それを見たつかさは









不安と恐怖に襲われた。













そして、






















『死』っと言う文字が一瞬脳裏かすめた。













 



烈火「さつきちゃん、つかさちゃん、唯ちゃん!」









烈火が集まってる人をかきわけて3人の前に現れた。









さつき「烈火どこに行ってたの!」






烈火「真中が血流して倒れてさかい、そこの家の人に電話借りて救急車呼んでもろたんや」







唯「救急車まだ来ないの?淳平大丈夫なの?」






唯が涙ぐんで問い掛けた。











烈火「大丈夫や、すぐに来るさかい心配しんとき」





烈火は、唯の頭の上にポンッと手を置いて言った。








そして、つかさの方を振り向いた。







ただ一点を見つめるつかさ、見つめる先は誰にでもわかった。










烈火「つかさちゃん・・・・・・」











烈火の言葉が聞こえてないのかつかさは、ボーっとしたままである。







そのつかさの反応を見て、烈火はつかさのショックの大きさを感じた。











そっと立ち上がり、つかさの手を引いて真中のところへ導いた。









そこで我に帰ったのか、つかさは目の前で倒れこんでいる真中の傍にかけより座り込んだ。









しばらく無言のまま真中を只見つめるつかさ。








烈火達も無言で2人を見つけた。














あたしのせいで淳平君が怪我を負った───

















あたしが不良とぶつからなかったら────













頭の中で交互に浮かんでくる。












つかさ(あたしの・・・・・せいで・・・・・・・)














そして、最後に真中の優しい笑顔が浮かんだ

















さつき「西野さん・・・・・」










つかさ「・・・・・・っ・・・・・ぁ・・・・・」








さつき「え?」















つかさの目からは、たった一粒の涙が頬を流れていた。


















つかさ「いやぁぁぁっ!!」














真中の少し冷たくなった手を覆うようにギュッと握り締めた。