71話   迫り来る時  作者べりやん

 















少し歩くと花火大会をする河原が見えてきた





遠い道も2人で行けば短く感じると実感した









真中「結構店出てるな〜」






一応周りを見回して映研メンバーが来ていないかをチェックする









つかさ「?どうしたの?」




真中「あ、いや別に。それより西野腹減ってないか?」




つかさ「ん〜少し減ったかな」




真中「じゃあ、なんか食べようぜ。俺奢るよ」




つかさ「ほんと?ならどれが一番高いかな〜?」




真中「え゛・・・・」




つかさ「あはは。冗談冗談。歩きながら探そっか」




真中「はは・・・・んじゃあ、行きますか」











おいしそうな物、楽しそうなゲーム





そんなものより、西野といる時間が一番価値がある















つかさ「淳平君。ちょっと歩くスピード落としてくれない?」




真中「え?ごめっ!早かった?」





つかさ「ううん。いつもなら大丈夫なんだけど今日浴衣だからさ。それに人も増えてきたし」





真中「確かに人増えてきたな。西野大丈夫か?」





つかさ「ん〜なんとか。・・・・・・こうしてくれたら歩きやすいかも」











そう言い、軽く真中と腕を組んだ





全身の血が熱くなってくるのがわかった










つかさ「だめかな・・・?」




真中「いや!全ッ然!!西野がいいんであれば・・・・・」




つかさ「それじゃあ。こうさせてもらおうかな」











自分のすぐ傍で自分だけに向けられる笑顔




真中は胸の奥から幸せがじ〜んと溢れ出してきた











パシャッ









真中「・・・・・・ん?」






嫌な予感がした









それも特大の嫌な予感







つかさは既に気がついたみたいで固まっている






そ〜っと音のする方を見た











真中「・・・・・・・・・・」










向こうもこっちが気がついたことを気付いたみたいだ





そ〜っと逃げようとする





それを真中がやすやす見過ごすわけがない









真中「そぉ〜とぉ〜むぅ〜らぁ〜・・・・・・・!!」









急いで外村を捕まえた





そして、周りを見渡す








つかさ「あ」








つかさの見ている方を見る













真中「・・・・・・お前らまで〜!!」








そう、そこには人ごみに隠れているさつき・唯・小宮山を見つけた






こっちを見て作り笑顔で手を振っている









真中「・・・・・・ってことは・・・・・」








周りを注意深く見渡す





捕まえた外村が指をさす





その方向を見てみると





木のフリをしている奴を見つけた










のしのしとそこに進む









真中「・・・・・・・・・・・おい」








そう言い、耳をひっぱる













烈火「痛っ!真中許してくれや!!」





真中「烈火君。これはどういうことかな?」








顔がひきつっている








烈火「え〜・・・・・思わず口が滑ってしもてん・・・・・」










烈火の額から汗が流れる








真中の額にはしわがよっている







そんな2人の光景を他のメンバーが見守る












真中「この馬鹿野郎っ!!」








烈火の耳に直接言い、烈火の耳が『キーン』と鳴り続ける








そして、そのままその場に崩れた







真中はほっておいてつかさの元に戻った









真中「西野行こ」




つかさ「あ、うん」







ずんずん進んでいく真中





怒りが収まらない








真中(さっきまでめちゃくちゃいい感じだったのに!




                くそ〜・・・・烈火の野郎絶対許さねぇ・・・・・)










つかさ「淳平君」





真中「あ。何?」





つかさ「あの〜・・・・少し痛いなって・・・」




真中「痛い?」




つかさ「・・・・手」











手を見ると小さなつかさの手をしっかり握っていた




さっき夢中で引っ張って来たのだ












真中「ごめん!えっと・・・・」










この手を離すか離さないかで悩んだ




ここで離してしまえばもうつなげないかもしれない







つかさの反応を待った












つかさ「大丈夫。これくらいなら全然痛くないし、逆に安心するかも」






そう言い、少し真中の手を軽く握った












先ほどの怒りが全てなくなった




めちゃくちゃ怒っていたのに




それほどつかさは自分にとって大きな存在なんだと思った







そのまま手をつないで歩き出した













小宮山「くそ〜真中とつかさちゃんいい感じだな〜」






さつき「小宮山もこれでもう、西野さんのこと諦められるね」





唯「え!?西野先輩狙ってたの!?」





外村「唯ちゃん。驚くのはわかるけど小宮山は高嶺の花が好きなんだよ」







ボロカスに言われてる小宮山













小宮山「いいさ!俺にはまだ綾ちゃんがいる!!」




さつき「東城さんも無理だと・・・・・」




唯「え!?次は東城さん!?」




外村「唯ちゃん。小宮山は現実が見れてないんだ。そ〜っとしといてやるのがいいよ」




唯「うん・・・・。」







哀れそうに小宮山を見る唯








小宮山「俺綾ちゃん呼んでこよ〜!」






そんな視線に気付かず、小宮山は綾を迎えに行った












PM8:50








真中「そろそろ。花火見えるとこ行こうか」




つかさ「うん。花火楽しみだね」







真中は決めていた




花火の最後の打ち上げの時




自分の気持ちを伝えることを




自分の気持ちを伝えるまで









残り30分











時間は刻々と流れる────