73話 一緒に・・・ 作者べりやん 綾「真中君久しぶりだね」 真中「そうだな・・・東城元気だった?」 綾「うん。真中君は元気だった?」 真中「ああ」 ・・・・・・・・・・ 会話が止まってしまった ただ夜空に咲く花火を見つめる 綾「真中君」 真中「な、何?」 綾「・・・・1つだけ伝えたいことがあるんだけどいい?」 真中「・・・・うん」 一息置いて口を開けた 綾「あたし真中君が好きだった」 真中「!?」 口がポカンと開く真中 綾「いきなり言ってごめんね・・・」 真中「あ!い、いや!!」 綾「・・・・・あたしきっと中学の時から真中君が好きだった」 綾が徐々に話し出した 綾「あたしね。中学のときほとんど男子に優しくされたことなかったから 真中君が初めてだったんだ。あたしに優しくしてくれたの」 真中はただ綾を見つめた 綾の口から放たれる1つ1つの言葉を聞き逃さないように 綾「だから・・・・真中君が好きになった・・・でも、一番惹かれたのは真中君の夢への想いかな・・・ それを聞いて、あたしも・・・夢が叶う気がした」 綾「真中君が・・・真中君がいなかったら今のあたしはいなかった きっと中学のころと何も変わらない。何も出来ないただ勉強ばっかりしてる子のままだった ・・・・・真中君に出会えて本当によかった・・・・ありがとう」 真中「お礼なんて言うなよ・・・・俺だって・・・俺だって東城がいてくれたから今の俺がいるんだから・・・」 綾「・・・・・あたし真中君が好きだった・・・・」 真中(東城・・・・) 綾「でも、真中君には西野さんがいるもんね あ!言っておくけど別に・・・そんな深い意味じゃないからね! ただ・・・あの時も言ったけど真中君西野さんといたらすごく笑顔が輝いてる あたしはその真中君の笑顔が好きなんだ・・・・ずっと見ていたい・・・おかしいかもね」 笑いながら言う綾の瞳からは 涙が溢れていた 綾「ごめんね・・・こんなこと言って・・・ でも・・言わなきゃ・・これから真中君の目をちゃんと見れなくなりそうだったから・・・・ 真中君・・・あたしには気をつかわないで西野さんと幸せになって・・・・お願い」 胸が締め付けられる 綾の言葉の一言一言が重く そして切なかった 綾の涙を見て自分も泣きそうになる 真中「ありがとう・・・本当に・・・ありがとう・・・」 お礼を言っても足りないほど感謝してる こんな自分のことをここまで想ってくれてありがとう そして応援してくれてありがとう 真中は立ち上がった 真中「・・・俺も東城の事好きだった」 東城「・・・・・」 真中「・・・・でも、やっぱ隣に居て欲しいのは西野・・・西野だけなんだ」 東城「・・・・わかってる・・・頑張ってね」 真中「・・・ありがとう」 一歩踏み出した たった一歩だがはるかに大きい一歩 未来へ繋がる一歩───── もう真中の気持ちをふさぐものはない 大きく開く花火が真中の背中を押すように照らした 真中「西野!」 大声で呼んだ びっくりして振り返る つかさ「どうしたの?」 真中「あの・・・ちょっと2人で話さない?」 つかさ「え?・・・・うん」 真中「よし。ちょっとコンビニ行ってくる!」 小宮山「なぬ!?お、俺もつかさちゃんと〜!」 真中(ゲッ・・・・) 烈火「小宮山ぁ!!あっこにめちゃかわええ子がおるで!」 その言葉に素早く反応する小宮山 小宮山「お!?どこだ〜!?」 烈火「あっこやって!ほら行ってき!」 小宮山「よし!ちょっと行ってくる!!」 外村はスキップをしながら走っていった 烈火「ほら、はよ行けや」 真中「ははは。サンキュ」 烈火「たこ焼きで許したるわ」 照れたのかそっぽを向いて言う烈火 真中「はいはい。じゃ」 烈火「真中。大丈夫やビシッと決めてきーや」 そういうと烈火は拳を真中に突き出した 真中「ああ・・・」 真中も拳を出し軽く烈火の拳にぶつける つかさ「淳平くーん!早く行かないと最後の花火見られないよ〜?」 真中「ああ!」 つかさと少し距離を置き歩き出す 真中の背中をずっと見ながら歩くつかさ いつもより真中の背中が大きく見えた つかさ「ねぇ、話って何?」 真中「ん?・・・・うん」 つかさ「・・・・・・・・・・」 5分ほど歩いたところで止まった ヒュルヒュルヒュル ドーーン 花火をラストに近づいてきている 俺達の関係もラストへ──── 真中「俺達、本当にいろいろあったよな」 つかさ「え?・・・うん」 真中「別れてもう半年以上経った・・・・」 つかさ「・・・・・・・・・・」 真中「俺・・・自分勝手だけど、別れた日西野の大事差を知ったんだ」 つかさ「・・・え」 真中「はは・・・気付くのが遅かったよな もう・・・会えないって思った・・・ それを考えたら恥ずかしいけど・・・・涙が止まらなかったんだ ・・・・・夢にまで出てきたよ・・・・馬鹿だよな。未練たらたらで・・・・」 真中はつかさの方へ振り向いた 真中「でも!また会えて・・・・話できて・・・すんげー嬉しかった・・・ 西野に・・・どんどん惹かれてる自分がいた 俺・・・・きっと付き合ってた頃からずっと西野を追いかけてきた ・・・・まだ・・・まだ追いつけてないかもしれないけどさ・・・ それでも、西野にどうしても伝えたいことがあるんだ」 真中「俺・・・・・西野が好きだ きっと・・・・ずっと前から・・・ もう西野を傷つけない 今の俺はあの時と違う 西野だけを見ていける自信があるんだ だから・・・・ 俺ともう一度やり直してくれないか?」 言い切った 今まで胸の奥に閉まっていた想い 心臓はなぜか穏やかだ つかさ「・・・・本当に?」 真中「え?」 つかさは涙を流していた つかさ「あたし・・・淳平くんをまた好きになってもいいんだよね? あの頃に・・・・戻れるんだよね?」 真中「・・・・・違うよ」 つかさ「・・・・?」 真中「戻るんじゃない・・・・これから作っていこう ずっと傍にいたいんだ ・・・・・西野の笑顔を守っていきたい 俺に・・・・守らせてくれないか? ずっと・・・・ずっと笑顔を守るって誓うから・・・・」 つかさ「・・・・ありがとう あたしも・・・・大好きだよ 淳平くんのその言葉・・・・ずっと待ってた・・・・」 近づく2人 重なりきった想い 今2人は結ばれる 顔がそっと近づいた ・・・・・・・・・ 感じる視線 しらける雰囲気 真中「お〜ま〜え〜ら〜!!!」 唯「どわぁ!ばれちった」 真中「またお前らは!!ふざけるな〜!」 さつき「ちっ、今回は小宮山を縄でしばってから来たのに・・・・」 真中「はぁ・・・・もうヤダ・・・・」 ガクリと肩を落とす つかさ「淳平くん」 真中「ん?」 チュッ 右の頬が熱くなっていく つかさ「大好きだよ」 優しい微笑み 愛する人へ向ける 真中だけに向ける笑顔 (ああ・・・・俺はこの笑顔を・・・守りたいんだ・・) 真中「・・・俺もだよ」 つかさは照れ笑いを浮かべて真中の手をとった つかさ「ほら!皆のところに行こ!」 真中「あ、ああ!」 烈火「ラストやで〜!!」 ヒュルヒュルヒュルヒュル ドーーーーン 真っ暗な闇に大きな華が咲く そっと花びらが落ちて消えていく でも、2人の華は散らない これからも咲き続ける きっと 闇を照らすように はかなく力強く──── 2人は今やっと歩き出した 互いの手をとり、一緒に一歩を 2人の道はまだまだ続く──── ──完── あとがき